8月の雪


「何だよ…」

「フフッ…内緒」


悪戯っ子のような顔に、俺はため息を漏らした。


「ちょっとー何でため息つくの!?」

「何となく、かな?」

「疑問系!」


さっきから馬鹿にされてるのが釈に触り、
今度は俺が芙由をいじめ始めた。


「…まあ、いっか!
ハッピーバースデー、祐」

「…どうも…」


照れ笑いをした俺を見て、芙由も一緒に笑った。


俺は一生、この日を忘れない。


君の笑顔も無邪気さも、

全てが大切な宝物だから。



8月28日,俺の17歳の誕生日。


最初で最後の君との
デートとも言えないデート。


夏の終わりに僕らは知らない感情を手にした。




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