8月の雪
「…まだ付き合ってんだね、真木栞と…」
「別に、俺はなんとも思ってないけど…」
少しふて腐れながら日誌を書いてる、
金井 美紗《カナイ ミサ》は、
何にもしようとしない俺に苛立ちを見せ始めている。
真木 栞《マキ シオリ》とは、
さっき俺といた一個上の先輩。
美紗と栞は俺がらみでいろいろあったから、
栞のことをあまりよく思っていない。
「ってか、早く終わらせたいんだけど」
「なんか用事でもあるのか!?
あっ律とデートか?」
「違うから。
今日は友達のお見舞いに行くの…」
ふ〜ん、と興味なさそうに、シャーペンを回し始める。
「暇ならあんたも行く?
どうせ今日もウチでご飯食べるんでしょ!?」
日誌に目をやったまま、美紗は俺に問う。
「まぁ〜どうせ暇だしな。
お前の友達って、気になるからな」
「…あんた、あたしを馬鹿にしてんの!?」
キレ口調で言いながら、必死にペンを動かしている。
美紗は幼なじみの俺が言うほどの、美人だ。
男子はおろか
女子からも一目置かれた存在。
だから、いつも一人でいることのほうが多い。