8月の雪
「…そう。なんかスッキリした」
「栞?」
「あたしね、流と結婚すんの」
「……はっ!?」
栞の発言に、間を置いた後、
すっとんきょうな声を出してしまった。
よく見ると、頬を赤くしている栞の左手の薬指には、
キラキラと輝くシルバーリングが付けられていた。
「…ずいぶん、時間かかって説得されたの。でもね、やっぱりあたし、流が好き。
祐とは、淋しさから始まった関係だったから、それが心に染みたの…だからね、ちゃんとさせたくて」
照れながら話す栞は、
今まで見たことないような笑顔を見せる。
やっぱり、好き合ってるからこそなのかもしれない。
「……栞、今幸せ?」
「すっごく幸せ!!」
「そっか…」
ホッ、として、ため息が出た。
いつの間にか、栞につられて笑っていることに、
俺は気付かなかった。