8月の雪




一ガラッ


「はよ〜」


教室にはいると、既に席は埋め尽くされていて、
かろうじて取っといてもらった律の隣に座れた。


「おすっ!珍しく遅かったな!?」

「ん〜ちょっとな…栞と別れてきた。」

「はっまぢかよー!!?」


思いのほか驚いている律に驚く。

今まで何人も付き合っていた俺に、驚きをしめすのは意外だった。


「栞先輩とはこのままズルズルいくと思ってた。」


まるで、俺が思っていたことが分かったような答え方。


「何で、そう思った?」

「いや、だって…お前、あの人には優しかったから。」

「………?」


そうか?
あんまり変わらないような気がする。


律いわく、
無自覚で同種と判断し、他の女とは態度が違った。


…らしい。


「…お前、馬鹿だろ」

「大丈夫、お前のが馬鹿だ」

「そういう意味じゃねぇからっ!」


苦笑する俺に、すかさずツッコミを入れる。

可笑しくて、大口になりそうだったが、
教壇の後ろに立っている担任に睨まれて、押さえ込んだ。
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