8月の雪
あの日の想い
今日から新学期。
軽快になる目覚ましを直ぐさま止めて、干しておいた制服に着替える。
昨日の夕飯の残りのシチューを温めて、
テレビを見ながら食べ始める。
いつもと変わらない動作なのに、
何だか気持ちがざわめいている。
「…はぁ〜…どうしたもんか…」
律の言葉、美紗の表情、
俺の鈍さ。
全てが絡まりながら、
グチャグチャになっていく。
一ピンポーン
「やべっ!時間だ!!」
チャイム音が鳴ると、
俺は鞄を持って、玄関に向かった。
「悪い、み……さ…!!」
「へへっ無理に来ちゃった〜」
仏頂面の美紗の後ろから、ヒョコッ、と出てきたのは、
「…芙由…?」
にんまりと満面の笑みを浮かべる芙由が、
美紗とは違った制服の着こなし方をしていた。
「私も今日から浜谷高校に通うの〜」
自慢げに言う芙由を見兼ねて、美紗はスタスタと歩いていく。
その後をついていくように、俺と芙由は並んで歩く。