8月の雪
二日振りに逢う芙由は、
パジャマではなくて、制服で、
髪はトップでおだんごにしていて、
なんだか俺は緊張する。
芙由が好きだ。
そう自覚してから、初めて逢う。
だからなのかもしれないが、
やけに心臓がうるさい。
「あっ祐〜!!おはよ」
ドスッ、と俺の背中を叩きながら、明るい声がする。
「…はよっ栞!久しぶり?」
「ハハッ、硬いなー
あっ!今度流がご飯食べに行こうって〜」
それだけ言うと、無邪気な笑顔を残して、栞は走っていった。
「今の…だれ?」
「えっ…!?」
興味津々な顔で、俺に尋ねてくる。
「あ〜元カノ」
特に考えもせずに答えた後、
美紗の表情で、ハッ、とする。
よく分からないけど、こういう話をしていいのだろうか。
「…へ〜そうなんだ、やっぱり祐って、モテるんだね?
あっ私、職員室行くから、じゃねー」
早口になりながら、急ぎで校舎内に入っていく芙由を、不審に眺めていた。