8月の雪


二日振りに逢う芙由は、
パジャマではなくて、制服で、
髪はトップでおだんごにしていて、
なんだか俺は緊張する。


芙由が好きだ。

そう自覚してから、初めて逢う。

だからなのかもしれないが、
やけに心臓がうるさい。


「あっ祐〜!!おはよ」


ドスッ、と俺の背中を叩きながら、明るい声がする。


「…はよっ栞!久しぶり?」

「ハハッ、硬いなー
あっ!今度流がご飯食べに行こうって〜」


それだけ言うと、無邪気な笑顔を残して、栞は走っていった。


「今の…だれ?」

「えっ…!?」


興味津々な顔で、俺に尋ねてくる。


「あ〜元カノ」


特に考えもせずに答えた後、
美紗の表情で、ハッ、とする。


よく分からないけど、こういう話をしていいのだろうか。


「…へ〜そうなんだ、やっぱり祐って、モテるんだね?
あっ私、職員室行くから、じゃねー」


早口になりながら、急ぎで校舎内に入っていく芙由を、不審に眺めていた。
< 47 / 111 >

この作品をシェア

pagetop