8月の雪
「あんたって、確信犯?」
「はっ何が!?」
校舎の中を見ていた俺の横で、いきなりボソッ、と美紗が呟いた。
「いや…あっあたしも、芙由のとこに行こ」
「待てよ、美紗。」
「…………」
逃げないように、力強く美紗の腕を掴む。
観念したように、抵抗はしてこない。
「わざとだろ?
話がある、って言ったのに、芙由を連れて来たの…」
避けていた話題を出すと、
直ぐさま不機嫌な表情になる。
「…いつ、別れた…?」
なるべく優しく、美紗の機嫌をこれ以上に損ねないよう問い掛ける。
「……忘れた。」
「はっ?何だそりゃ」
美紗の返答に呆れすぎて、
もはやため息すら出てこない始末。
「真面目に答えろよ…」
「…………」
俺の怒鳴り声で下駄箱にいた生徒が、全員振り返った。
「そんな大きな声、出さなくてもいいじゃない…
放課後にしましょ?」
「分かった…」
静かに言うと、美紗は俺の腕を払い、
職員室に向かった。