8月の雪


「流先輩は、知ってるんすか!?」

「さあっ?だってあっちが好きなことしていいって言ってたから。
ばれたらドンマイ、ってことで」


白い歯を見せて笑う栞先輩は、堂々としていて、なんだか羨ましかった。


別に、祐との関係を認めてるわけじゃない。


ただ…今まで祐の周りにいた女は、


祐に好かれようとして、


愛想よくしたり…


平気で嘘をついたり…


こびを売ったり…



とにかく、ろくな女がいなかった。



そう言った意味では、栞先輩は合っているのかもしれない。


誰にたいしても優しく、
飾らないで笑っている。


そんな栞先輩は、
人を好きになろうとしない祐には、いい経験になるかもしれない。




何でだか俺は、直感的にそう思った。




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