8月の雪
「じゃあ、まず何から乗る?」
「はーいっ!あたし、あのジェットコースターがいい」
そう言って、栞先輩が指差した方向を見上げる。
そこには、どこまでも続いているジェットコースター。
見上げてて首が痛い。
「おまえって、度胸あんな?
まっいいか!行こうぜ」
祐は引き笑いをしながら、俺達を誘導する。
ただ一人を除いては…。
「……金井?」
後ろには、真っ青な顔をした金井。
小刻みに震える体。
「あたし、パス。
三人で行ってきて?」
それだけ言うと、金井は一人、近くのベンチに腰をかけた。
「しょーがねぇな!
三人で行くしかないだろ」
ポリポリと頭をかきながら、
祐は俯いている。
「…………祐、俺…」
何も言わなくても分かったかのように、
祐はニカッ、と笑って、手を振ってきた。
それを見て、俺は後ろを振り返った。
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