8月の雪




「…はぁ〜…やっぱまだ無理か…」


震える手を見ながら、あたしは呟いた。


高い所と、狭くて密閉された空間は、
昔から大の苦手。



どんなに時間が経っても、
体についていた無数の傷が消えたとしても、



あの恐怖は、消えることはない。



四年前のあの事件が、
未だにあたしを縛り付ける。



「……ヤバッ…気持ち悪い…」


近くの自販機で、飲み物買ってこよ。
そう思って、立とうと思った瞬間。





















「うわっ!顔色悪っ!!」















聞き覚えのある声と、
ひんやりとしたものが頬に当たる。



「……とおやま…くん」


何でいるんだろう?

さっき祐達と、ジェットコースター乗りに行ったじゃん!


「えっ!?金井!!?」


安心して、初めて人前で涙を流した。




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