8月の雪
「…な、んだ〜…祐のこと好きなのかと思ったー」
ボソッ、と何か言いながら、
満面の笑みをあたしに向ける。
「…遠山君って、変わってるね?」
「えっ!どこがっ!?」
「全部。」
不思議そうに首を傾げながら、買って来たコーラを飲み始める。
「…遠山君。…アリガトウ…」
「………」
小さく言ったから聞こえなかったかな、
と思って遠山君の横顔を見た。
「…やっぱ変わってる…」
笑っている遠山君に背を向けて、オレンジジュースを一気に飲み干した。
「よしっ!あの二人が戻ってくるまで遊ぼ」
「だなっ」
勢いよくベンチから立ち上がり、あたしは遠山君といろんな所を周り始めた。
「お前等勝手にどっか行くよな」
「「はい、すみませんでした」」
気付くと時間は、一時を回っていた。
俺達は、電話が何度も鳴ってるのに気付かないで、遊び回っていた。
「…美紗、楽しかった?」
「うん」
優しく聞いた祐に向かって、金井は満面の笑みを浮かべた。
なんだか胸の辺りが、モヤモヤする。
「……律?」
よく分かんないけど、祐を軽く睨み付けた。