8月の雪


「っんだよ〜…ヤキモチか!?」

「はっ!?焼き餅?」

「ちげーっよ。
俺と美紗の関係を妬いてんのか!
って聞いてんだよ」


あ〜なるほど!
焼いた餅じゃなくて、ヤキモチなっ。


ポンッ、と手を叩き納得した。


「…………!!!」

「顔真っ赤!
春はいいな〜」


言葉の意味を納得したのと同時に、
顔が赤くなっていく。

それを馬鹿にするように、耳元で祐はぼやく。


「え〜…何の話してんの!」

「何でもないですからっ」


顔を真っ赤にしながら叫ぶと、
みんなは大きな声で笑った。




一ブーッブーッ




「あっ!!!」


微かに聞こえるバイブと、聞き覚えのある歌が流れると、
金井はまた顔を少し青くして、鞄から携帯を取った。


「…金井?」

「……ごめっ…!何でもない」


携帯をパチン、と閉めると、
苦しそうに笑う。


「もしかして、何かあった?
帰ったほうがいいんじゃないのか?」

「あっ…でも、何も出来ないならいないほうがいいから…」


そう言って、金井は無理矢理笑顔を作る。
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