8月の雪
一体俺は、どうしたんだろう。
そんなことを思いながら、金井を見る。
「…遠山君…」
いつも俺を見ている、澄んだ瞳。
その瞳に吸い込まれるように俺は、
金井の腕を掴んで、その場から走り出した。
「おいっ律っっ!!」
「遠山君っっ!!」
遠くで俺を呼ぶ祐と、
息を切らしながら必死で俺呼ぶ金井の声。
消えては響いて、
遠のいては近づいて。
まるで波紋のように広がる想いは、
次第に俺の心を
覆っていく…
「…とっとおや、まく…ん?」
気が付くと、祐の家の近くにいた。
無我夢中で走ったせいか、どうやってここまで来たか、覚えていない。
握りし目ていた腕からは熱が伝わり、離さなきゃいけないのに、離せないでいる。
…いや、離したくないから、離さないでいる。
「遠山君…あの…」
「あっごめん!何かでしゃばった真似を…」
「ううん、ありがとう。」
一…トクン
優しく胸が波打った。
さっきよりは自然な笑い方をしている金井に、
俺は気付かないうちに微笑んでいた。
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