8月の雪
「…さっ…おい美紗っ!
何ボーッ、としてんだよ?」
「えっあっ…ごめん。」
「…〜っ…じゃあ話してよ?何でこうなったか…」
脱力をしながら、祐は空を見上げる。
屋上から見える空は、今日はどこか濁っていて、
あたしは顔をグラウンドに移した。
「…ずっと…ずっと律は、あたしのこと疑ってたんだと思う。」
あの時言った言葉、
あの日の笑顔。
いろんなものが、色褪せる事なくあたしの中を駆け巡る。
「…別れを切り出されたのは、あんたと初めて芙由のお見舞いに行った次の日。
別れたのはあんたの誕生日。
でもその前からずっと、律の態度はおかしかった。」
淡々と話すあたしに真剣に聞く祐。
そんな祐を見ながら、あたしはあの日の記憶を呼び起こしていた。
『俺、金井のことが好きです』
一度目は、誰もいない図書室。
恥ずかしそうに…
でもどこか真剣で、
目が離せなかった。
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