8月の雪
「…美紗!?」
話終わったときには、
自然と涙が溢れていた。
「俺さ、思うんだけど…律はまだお前のことが好きなんじゃないのかな…?」
あたしに淡い水色のハンカチを渡すと、またぼんやりと祐は空を見る。
「……律は、あたしがあんたのことを好きだと思ってる。
曲がり間違ってもそんなことありえないのに、ね…」
なのに、あたしはその手を離した。
また拒絶をされたら。
そう思うと、足がすくんで、前に進むことが出来なくなった。
涙と一緒に笑いが込み上げてくる。
結局、あたしはあの人と同じだ。
「…ムカつく。」
「………」
あんな人と同じということが、これほど嫌なものなのに、
どうしてあたしは律を信じられなかったんだろう。
こんなあたしを受け止めてくれたあなたを…
心のどっかで疑っていた。
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