8月の雪




結局…あたしもあの人と変わらない。


自分の感情で、人を傷つけたあの人と…






「美紗は律が好きなんだろ?」

「……好きなんて、いまさら遅いよ…」

「何言ってんの!?」

「えっ……!?」


さっきまで空を仰いでいた祐は立ち上がり、
あたしをきつい表情で見下ろす。


「お前はっ律の何、見て来たんだよ!?
あいつは振られても懲りずに、お前ん中に入って来ただろうが!美紗がこんなとこであいつの手離したら、律の想いはどこに行くんだよ?」


そう言った祐は、目にいっぱいの涙を溜めながら、
あたしに真っ直ぐに言葉を投げてきた。


あぁ…そっか。
あたしはまだ何にもしてないんだ。


あの日の自分と今の自分を重ねて、
気持ちから逃げてただけなんだ。




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