8月の雪



「…美紗?なんか嬉しそうだね…」

「ちょっとね〜」


教室に待たしていた芙由は、待ちくたびれた表情を浮かべている。


「あっそうだ…これ。」


はいっ、と一枚の白い封筒をあたしに渡す。

宛名も送り主の名前すら書いてない。


「誰から?」

「…ないしょっ!」


にんまりと悪戯っぽい笑みを浮かべる芙由を横目に、
あたしは封筒から手紙を取り出す。


「……何、よ!これ…」

「へへっ…私、最近元気ないの知ってたから、事情聞いちゃった
そしたら、手紙渡してって…」


動揺を隠せないあたしをよそに、芙由は祐を見つけて、祐の元へと向かった。


「相変わらず下手な字…」

普段は絶対に手紙なんて書かないくせに…。


見慣れた文字を、そっと指でなぞる。




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