8月の雪
「やばっ!今日、家の手伝いがあるんだった」
赤く腫れた目を前髪で隠し、鞄を持って教室を出ようとした。
「金井さんっ!」
「……だれ?」
「あっ僕、同じクラスの花本棗で…す。
よかったら、これ使ってください」
「えっ!ちょっ??」
それだけ言うと、赤い顔を隠すように、
花本 棗《ハナモト ナツメ》
は、教室を出てった。
「変な人…」
一パサッ…
少し濡れたハンカチを使おうとすると、小さな紙が落ちた。
「…“相談ならいつでも乗ります!”
何これ!!」
可笑しくて笑いが込み上げてきた。
久々に笑った気がする。
ねぇ…律は今、
笑ってる?
この時はまだ気がつかなかった。
彼との出逢いが、あの人の再会を促していることに一…
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