8月の雪
動き出した未来
夕日はもうとっくに沈み始めていて、
さすがに半袖はもう肌寒い季節。
ついこないだ学校が始まったかと思っていたら、
明日は待ちに待った浜高の文化祭。
「………〜♪」
「…祐、歌上手だね!」
「あいつは昔っから歌上手いんだよね〜」
さすがに前日準備ともなると、俺も浮足立ってくる。
「…わっ芙由!?」
「やっと気付いたよ〜」
廊下から窓枠に手を置きながら、芙由と律は俺を見ていた。
「祐のクラスって何すんの?」
「見て分かんない?
普通っの喫茶店」
普通、を強調しながら芙由に言う。
それが可笑しいのか芙由は、楽しそうに笑う。
「…芙由のクラスは?」
「…なんだっけ!?」
「芙由ちゃんいい加減覚えてよ…。
うちのクラスは劇やんのよ〜」
「あっ!そっか〜りっ君ありがと」
楽しそうに話す二人を、俺は黙ってみている。
最近、二人は前々から知り合いだったことを聞かされた。
だからなのか、芙由は俺といるときより楽しそうだ。
「あの〜気が散るんで、あっちに行ってもらえませんか?」
どこからともなく声が聞こえた。
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