8月の雪
視線を少しずらすとそこには、テーブルクロスを持った、
「おっ棗〜!今呼びに行こうかと思ってたんだよ」
「祐、冗談やめろよ。お前が僕にそんな優しさ見せたら、明日は間違いなく嵐だ」
可愛い顔して結構毒舌な言い方。
「祐の友達?
私、村上芙由で〜す」
「知ってる、祐の彼女でしょ?
僕は花本棗。よろしくね」
爽やか少年とでも言えるほどの笑顔を見せる棗。
…んっ?
今何つった!?
棗が言ったことを、頭の中で再生する。
『知ってる、祐の彼女でしょ?』
シレッと言った顔まではいってきた。
「ばっか!ちげぇっよ!!
芙由は彼女じゃないからっ」
「うん。私、祐の彼女じゃないよ」
何でだか慌てて否定する二人。
急に恥ずかしさが込み上げてきた。
「「付き合っちゃえばいいのに…」」
律と棗が言った言葉なんて、当然のように耳に入ってこなかった。