8月の雪
「…あ〜俺は」
「遠山律」
「えっ!?」
「だよね?
知ってるよ、いつも祐から話は聞いてるから」
ちょっと驚きを隠せない律を見て、俺はクスクス笑っている。
普段滅多に他人のことを話さない俺が、
律や美紗、芙由の話は、よく棗にする。
それだけ棗には心を許している。
「…ってか、早く準備終わらせないと時間、やばいだろ?」
そう言って棗は時計を指差した。
現在時刻は六時半。
最終下校は七時だから、
早くしないと明日は何時起きになるか分からない。
「やっべ〜テじゃあ仕事戻るから、またな!
…おーっい!お前等、ラストスパート一気に行くぞー」
「「おぉぉぉおーーー!」」
クラス中に響き渡る声。
なんだか楽しくなりそうな予感がする。
目に見えて俺は浮かれていた。
だから気付かなかったんだ。
これから起こることに一…
.