8月の雪
「…安西…お前の趣味は分からん」
「あら、別に理解なんかしなくていいわ。
あんた達は、ただの金づる。しっかり働いてくれれば、それで」
みるみるうちに、
安西 聡子《アンザイ サトコ》
通称ボス
の顔は、不気味な笑いかたになっていく。
守銭奴は怖い。
平気で俺や棗を道具扱い。
金のためならなんでもすんのかよ〜
呆れるぐらい目一杯にため息をついた。
「…ま〜あんた達がやんなくても彼女がいるから、なんとかなるかもね?」
へっ?と口を大きく開けてマヌケな表情をする棗の視線を追うと、
そこにいたのはいるはずもない、
「…み…美紗……!?」
久しぶりに見た美紗は、
長い髪をバッサリ切っていて、
驚きを隠せなかった。
.