8月の雪
「お前等、知り合いだったのか!?」
疑問を二人にぶつけると、俺を見て、逆に不思議そうな顔をされた。
「…話したのは最近だけど、僕は前から知ってたよ」
「えっ…あたしはこないだ初めて知った…」
気まずそうに美紗は、苦笑している棗を見る。
「しょうがないよ。金井さんの友達って安西しかいないんだから」
「なっ聡子のこと、馬鹿にしてるの?」
「そういう意味じゃないから」
美紗が男子とこんな風に話すのは珍しい。
だから、普通なら
もしかして?
なんて思うとこかもしれない。
でも、そんなこと思わないのはたぶん、
時折見せる淋しげな美紗の表情で、まだ律のことが好きだということが、分かるから。
そして、たぶん…律もまだ美紗が好きなんだと思う。
「………バカ…」
教室の外で、こっそりと美紗と棗の様子を伺っている律の顔は、
苦しそうだから。
「あんた達、喋ってないで働きなさい」
「あっごめん」
「今からやるよ〜」
安西の一言で、俺達は持ち場に向かった。
少しずつ増えていく気持ちを抱えて…
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