8月の雪
「ライヴ?
なんでまた!?」
ガバッ、と勢いよく美紗は俺に詰め寄ってくる。
サンドイッチを頬張ったせいか、のどに詰まって話すことが出来ない。
「はぁ〜…つまり、今までのわびとして、祐は長谷川先輩に頼まれた?らしいよ」
「……へ〜…」
事情を知っている棗は、俺が麦茶を飲んでいる合間に、サラッ、と説明をした。
馬鹿なやつ。
とでも言うような顔をしている美紗を見ずに、
残りのサンドイッチをたいらげた。
「祐って昔から変なところでお人好よね」
「るせっ」
呆れた様子で、美紗は食べ終わった食器を、戻しにいく。
「…祐、馬鹿だろ」
「棗っ!お前は美紗の味方か!?」
「僕はお前の敵。」
それだけ言うと、苦笑したまま棗は、俺の分と一緒に食器を片しにいった。
いつもなら絶対にそんなことはやらない棗が、珍しく働いてくれてる。
「………もしかして?」
最初から持っていた違和感。
どうしてだか、美紗と喋ってる棗は、違和感だらけだ。
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