8月の雪
「…あいつら、どこに行くの?」
「さあっ」
ただ分かるのは、
全てを話す気になった、
それぐらい。
たぶん今回のことで、芙由の決心が固まったんだと思う。
「金井さんって、友達想いだな?」
「そう?
…まぁ〜あの二人は特別だから…」
あたしは遠くに行く二人を見ながら、律を思い浮かべていた。
今でも、まだ特別な存在。
別れてから一ヶ月経った。
なのに、まだこんなに心の中にいるのは、どうしてだろう。
「……あのさっ」
「んっ?」
「僕、少し金井さんに話したいことがあるんだけど…」
花本君は、遠慮がちにあたしを見てくる。
「何?」
「………」
花本君はなかなか口を開こうとしない。
「…………」
「…………」
互いの沈黙が、周りの雑音をよりいっそうに、際立たせる。
「…僕、金井さんのこと前から知ってるって言ったでしょ」
「あっうん」
急に開いた口に驚き、あたしは慌てて声を出した。
そして、険しい表情をする花本君を真っ直ぐに見据えた。
「僕は金井のことが好きだ」
一瞬、何も聞こえないくらいに、頭が真っ白になった。
.