8月の雪
キミの時間
きっとこんなに緊張したことは、まだ一度もないと思う。
それくらい、俺の心臓は激しく波を打っている。
微かに揺れ動くにぎりしめた拳。
心地いい秋の風が、俺の頬を優しく撫でる。
空をぼんやりと眺めている芙由は、いっこうに口を開こうとしない。
そんな芙由を、ただ真っ直ぐに俺は見つめている。
はぁ〜、と軽く息を吐き、冷たいコンクリートの上に座った。
「…祐…私に聞きたいことあるでしょ?」
カタン、と小さく音を立てる策を、力強く芙由は握った。
「…あるよ、たくさん…」
そう言った俺を見て、芙由は小さく笑った。
「…じゃあ話すね?こないだ、倒れた理由」
芙由は俺の前に座ると、ゆっくりと重たい口を開いた。
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