過去と今と未来と
「へー、気づくんだね?まあ、あんたと俺の違いは、それを意識してるかどうか、だよ。あんたは無意識にでも作ってるだろ。」

ある意味尊敬するけどね。無意識でそこまで気付かれない笑顔作るとか。俺は意識しないと無理だし。てか、そんな作るより無表情の方が数段楽なのに。

少し悲しみを含むその表情はわかってはいるんだろうけど、無意識じゃ直せもしないのだろう。
「どうすればいいか、わからない。」

ほんとに独り言のように、零れ落ちたようなその言葉は何処か辛そうで悲しそうだ。

「頭で考えるうちは一生無理だろ。考えてできるもんじゃねえことくらい、嫌ってくらいにわかってんだろ?」

俺も、だけど。わかってて出来ないからもどかしくて、それをどうにかしたいのにどうにかする術すらわからない。

「いつか、変わるといいな。」

そう、微かに空を見上げ言った彼女の言葉は、願いでもあると共に、意志もこめられている気がした。
なんだか可愛らしくて笑ってしまった。
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