サイレント王子と秘密の恋。(修正済み)

えっ……?
足元を見ると確かにぶつけた左足の親指は、
赤く腫れ上がっていた。

これは、痛いはずだ。

も、もしかしてそれを確認するために
脱がしてきたの?

睦月君は、立ち上がり向こうに行ってしまう。
しばらくすると棚から救急箱を持って戻ってきた。

そして湿布を小さく切って
親指に貼ってくれた。

貼り終ると取れないようにテープを上から
貼り直してくれた。

手慣れているようにあっという間に
手当てが終わった。

やっぱり確認をして手当てをするために
脱がしたようだ。

変な勘違いをしてしまい恥ずかしくなる。

「あの……ありがとうございます」

身体中から火が出るぐらいの気持ちで
お礼を伝えた。

睦月君は、コクリと頷き
救急箱を持って行ってしまった。

片付けに行ってしまったようだ。

睦月君は、言葉が無い分
行動や何を考えてるのか分かりにくい。

いや、普通に考えても
私にそんな感情が芽生える訳がないわよね。

自意識過剰みたいで……自分が恥ずかしくなった。

その後。
睦月君は、救急箱を片付けて
また、お茶の支度をして戻ってきた。

テーブルに着くとティーポットをコップに注いで
出してくれる。

ミルクと砂糖も一緒に

「あ、ありがとうございます。
度々申し訳ありません……」

申し訳なさそうにお礼を言った。

病人に手当てをしてもらい
お茶の用意までさせてしまった。

情けないやら呆れるやらで……泣きたい気持ちだ。

すると睦月君は、スマホをポケットから取り出して
何かを打ち始めた。

そして打ち終ると私に差し出してきた。

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