サイレント王子と秘密の恋。(修正済み)
「は、はい。そうですが……」
何故、私の名前を知っているのだろうか?
金本君から聞いたから?
「やっぱり。お兄ちゃんの交換ノートに
書いてあったもん。
咲良ちゃんのこと」
納得したように言う卯月ちゃん。
交換ノート?
すると睦月君が卯月ちゃんに
「卯月」と名前を呼んだ。
そうしたら
「はーい。うがいと手洗いをしてきまーす」
そう言いリビングから出て行ってしまった。
えっと……どういうこと?
私は、意味が分からずにボー然としていた。
睦月君は、何も言わずに
キッチンの方に行ってしまった。
しばらくして卯月ちゃんは、うがいと手洗い済ませ
戻って来ると美味しそうに睦月君が作った
ドーナツを頬張っていた。
「モグッ……咲良ちゃんが来てくれたお陰で
今日は、デザートがいっぱい」
食べながらそう言う卯月ちゃん。
「……はぁっ……」
これは、喜んでいいのだろうか?
しかし、随分と年齢よりませた子だな。
小学生の子に“咲良ちゃん”呼びをされて
少し複雑な気持ちになる。
すると睦月君は、
「……卯月」と呼びながら
ドーナツの食べ滓を取ってあげていた。