海恋


折れたのはあたしの方だった。



男の子は、力を緩めたが、あたしの腕を離そうとはしなかった。



そのまま、あたしを砂浜に引き上げた。



それにしても、とんでもない奴だ。



あたしの自殺を、邪魔してくれて。



「んで、何しようとしてたん?」



男の子はあたしの腕を離すと、あたしを見据えてそう言った。



「…はぁ」



今度何をされるかわからないので、とりあえず説明した。



「はぁ、自殺ぅ?」



男の子は呆れた声で言った。



ちょっとイラッとした。



あたしは、真剣なのに。



やっぱコイツ、ムカつく。



「悪い事は言わんから、自殺はやめろ」



は?



なんで止めるの?

















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