海恋
チラッと横を見てみると…
「…やっぱり」
隣にいる男の子がポツリと呟いた。
んん?
『やっぱり』って、なんだ…?
「隣の席の名前見て、そうじゃないかって思ったんだよね」
え…っ?
ちょっと、あれって思った。
だって、ここは沖縄。
あたし以外は、皆方言で話す筈なのに…
この人が喋ったのは、標準語。
なんで…?
「貝橋咲良ちゃん。
久し振り」
男の子はニッコリと微笑んだ。
えっと... 誰だっけ?
その外見に、全く覚えがない。
ワックスでセットされている、焦げ茶色の髪に、少し黒に近い二重の瞳。