海恋
東京の中学では、同情の視線を送られ、いじめられていたから、またいじめられるんじゃないかと怖かったけど。
全然、その心配は無用で。
「東京から来た、田中陸です。
これから、宜しくお願いします」
教卓の前で自己紹介し、周りを見たら…
同情の視線も、非難の視線もなかった。
皆、笑顔で拍手してくれたし、オレを温かく歓迎してくれていた。
オレの歓迎会まで開いてくれて。
友達も沢山出来た。
良かった…。
オレを受け入れて歓迎してくれる人たちが、ちゃんといたんだ。
居場所が、ちゃんとあったんだ。
父さん、母さん。
オレ、やっと自分の居場所を見つけられたよ……。