海恋
このままだと、心臓の音が大き過ぎて、密着している陸くんに聞こえそうだ。
「…あがー……。
テメエ、何するば!?」
裕くんがムクリと起き上がり、そのまま陸くんの胸ぐらに掴み掛かった。
陸くんを殴ろうと、右手を振り上げた。
嫌…っ!
あたしは、ギュッと目を瞑った。
ザッ…。
…え?
あたしはゆっくりと目を開けると、陸くんが裕くんの胸ぐらを掴み、立場が逆転していた。
「あんた… 貝橋を、こんなに怖がらせやがって…」
その時の陸くんは、鬼のような怖い形相で、全身がゾクリとした。
「…絶対に、許さない」
陸くんは、右手を振り上げた。
えっ…。