海恋
あたしは困惑するリコの腕を取り、廊下を駆け出した。
寮の部屋に行き着くまでは、お互い無言だった。
部屋に着き、制服を脱いでラフなジャージ姿に着替えると、早速リコに聞かれた。
「で?
一体、あそこで何があったぬ?」
「実は…………ね」
あたしは、さっきの出来事を、なるべくわかりやすく、ゆっくりと説明した。
リコは何も口も挟まず、たまに軽い相槌を打ち、無言で聞いてくれた。
全てを話し終わると、フウッと溜め息がこぼれた。
リコも、ハァッと溜め息を付いた。
「まさか、裕がそんな事する奴だったとは、知らなかったさ」
裕くんの事は、リコも信じられないと言ったような、本当に驚いた表情をしてた。