海恋
その翌日、教室に行く途中の廊下で、裕くんにすれ違った。
気まずそうな表情をしてこちらをチラチラと見て来る裕くんを、隣にいたリコが思いっきり睨み付けていて、結局気まずい空気のまま、すれ違って、通り過ぎて行ってしまった。
リコも、そんな露骨に睨み付けなくたって良いじゃない…。
どっちにしても、このまま裕くんと気まずい空気のままじゃ、あたしは嫌だな。
いつか、仲直りしたい。
今すぐには、無理だけど。
そして、リコと一緒に教室に入った。
リコと別れて、席に着くと、陸くんはもう来ていた。
「おはよ、陸くん。
あと、昨日はありがとう」
陸くんにそうお礼を言うと、こちらに視線を移した陸くんはニコッと笑った。