海恋
「貝橋、おはよ。
気にしなくていいよ。
それより、大丈夫だった?」
心配そうな顔で不安気にあたしの顔を覗き込む陸くんに、思わず胸がドキッとしてしまった。
昨日の怖い顔と冷たい声とはうって変わって、優しい表情をしていて、温かな声であたしに温かい言葉を投げ掛けてくれる。
「…大丈夫、だよ。
あの、心配してくれてありがとう」
…あたしの顔、きっと今真っ赤だ。
「…なら良かった」
陸くんは微笑むと、また眠そうな顔をして机に突っ伏してしまった。
あたしね、
陸くんのそういうとこ、
…大好きだよ。
あたしは、机に突っ伏す愛しい人の姿を見てニコッと微笑むと、支度を終わらせて席を立ち、リコの席へ向かった。