海恋
「…七海」
「何か?」
七海がこっちを向いて、首を傾げるその姿に、思わずキュンとなった。
「この海って素敵だよね」
「…うー。
俺ぬ、一番ぬ好きな場所さぁ」
そう言った七海の声は何故か寂し気で、何故かとても悲しそうに微笑んだ。
「七海…」
「アヌさ、咲良。
コヌ海ぬ先には、何があると思うかね」
「えっ!? さ、さあ...」
唐突におかしな事を口にする七海に、あたしは戸惑った。
「ははっ、いきなしこんな事聞いて、わっさんな。
…でも。
俺はさ、コヌ海ぬ先には、きっと、ティン国があるんだと思うさ」
「てぃん、国…?」
「あいっ、わっさん。
ティン国は、天国ぬ事さ」