海恋
「そっかぁ、わかったさ。
じゃ、あんさーねー」
「うん、またね!」
そう、“またね”…。
リコ、言えなかったけど…。
もしかしたら、将来仕事で、同じ職場で働く事になるかもしれないね。
その時は、一人前の看護師になって、医者の卵のあたしを助けてね。
リコ、大好きだよ…。
あたしは、駆けて行くリコが、校門を通り過ぎるまで見送っていた。
「…咲良」
背後から、低い声が聞こえて来た。
「…陸」
振り向くと、陸が立っていた。
因みに陸は、九州の大学の獣医学部に進学する。
陸は元々頭が良いから、大学受験も余裕だったのかな。