海恋
「咲良、あのさ…
オレ、やっぱり咲良の事…」
「りっ、陸!
写真、撮ろっ?」
「え? あぁ…」
陸の言葉を必死で遮り、丁度人が少なくなって来た校門前で撮る為、陸を引っ張って来た。
あたしは、笑顔全開で写真を撮り、思い出を残した。
あたし、陸とはどうしても、校門前で撮りたかったんだ。
「陸、写真ありがとねっ!」
「あぁ。
あのさ、咲良…」
「陸」
陸は首を傾げた。
「もう、会う事は多分ないけど…
…お互いの将来の為だから」
陸に聞こえないように、独り言のようにボソボソと呟く。
「ん? 咲良、なんか言った?」
「ううん、なんも言ってないよ?
んじゃあ陸、あたしもう行くね」