海恋
「え 咲良待っ…」
「ごめん、あたし、行かなきゃいけない所があるの!」
「…丹波の所?」
「うん。 バイバイ!」
あたしは、何か言いたげな陸に背を向け、高校を後にした。
那覇からフェリーで来門島に向かった。
そして、あの場所へ行った。
「ねえ、七海。
あたし今日、卒業式だったんだ。
こんなあたしでも、卒業出来たよ。
七海みたいな人が出ないような、立派な医者になれるように頑張るからね」
七海は今、水平線の向こうで何してる?
お婆ちゃんとまた楽しく過ごしてる?
それとも、ユキさんとデート中?
七海も、ティン国で幸せになってね!
綺麗な海で、あたしは卒業式で歌った歌を口ずさんでいた。