海恋
『間もなく当機は、那覇空港に離陸いたします―――…』
そんなアナウンスで、あたしは眠りから目覚めた。
周りを見渡すと
初めてなのか、興奮気味で何かを両親に話している小さな子供。
トークに華を咲かせている3人のおばさんたち。
金婚旅行で来たっぽい老人のカップル。
皆、明るい笑顔だった。
楽しくてたまらないんだね。
あたしは、それが羨ましい。
“楽しい”なんて感情、最近出ても来なくなった。
全てが真っ暗で、ウンザリする人生。
傷付いていく心と体。
最後に心から笑ったのは、一体いつなのかもわからない。
人は、自分自身に“限界”が来た時、どんな行動を取るか。