海恋
七海も、泣いていた。
大きな漆黒の潤んだ瞳から、大粒の涙が溢れ出ていた。
「…うん」
七海が、ポツリ、とそう言った。
「咲良が…そうしたいん、だったら、仕方、ないさ…。
俺は、咲良を、応援する…。
でも…っ これだけ、は、どうしても、約束、して欲しい…っ!
絶対に… 帰ぇーって来て…。
来門島に……かんなじ、帰ぇーって来てなぁ…」
涙声で掠れていた声だったけど…。
ちゃんと、聞き取ったよ。
「…わかった。
絶対、必ず帰って来る…」
「咲良…
うにげぇーさぁよ…」
「うん…!」
あたし達は、泣き笑いの表情で、しっかりと握手を交わした。