君の居た世界
‥良かった。
 
聞かれてたら恥ずかしいし。
 
 
 
「あたし、少し出掛けてくるね。」
 
 
それだけ言い、あたしは外へと出て行った。
 
 
 
「まったく、魅夜もすっかり女の子ね。
 
‥しょうがない‥‥私が協力しますか。」
 
 
 
そんな流雨の言葉もあたしは知るはずもなく、近くの公園へと辿り着いた。
 
 
「‥‥あれ?」
 
 
‥あのブランコに座ってるのって‥‥
 
もしかして‥
 
 
「‥‥氷夜‥。」
 
 
気付かれないくらいの声で、あたしは一人呟く。
 
 
 
‥‥何か、落ち込んでる?
 
さっきやっぱり、あたし怒りすぎたよね。
 
 
 
あたしは足音がしないように、そっと氷夜に近づいた。
 
 
 
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