君の居た世界
‥また。
 
また氷夜に先に謝られた‥。
 
 
前もそうだった。
 
いつも素直になれないのは、あたし。
 
 
一番素直にならなくちゃいけないのは、あたし。
 
 
 
そんなこと、わかってるのに。
 
 
 
「なぁ、お前さ‥あの映画見たい?」
 
 
氷夜がいつもの様に、あたしに話しかけた。
 
 
「んー‥、あたしそこまで映画って興味ないんだよね。」
 
 
あたしもいつも通り、笑いながら話す。
 
 
 
「だったら、映画はまた今度にしねぇか?」
 
 
「うん、それでも良いよ。」
 
 
「今日は適当に、買い物とかして過ごそうぜ。」
 
 
「そうだね。」
 
 
 
さっきの喧嘩が嘘の様に、あたしたちはいつもと変わらない雰囲気になっていた。
 
 
 
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