君の居た世界
「‥‥‥まず俺は、母さんと父さんの三人家族だった。
 
‥俺が小学三年の時くらいまでは、普通のどこにでも居る家族だった。
 
 
でも‥その後くらいから、父さんの働いていた会社の経営が苦しくなってたんだ。
 
当然子どもの俺に‥‥そんなことがわかるはずもなかったけどな。
 
 
 
そして‥その不安と苛立ちを毎晩、俺と母さんにあたる様になった‥。
 
 
最初は言葉だけだったけど‥。
 
日が経つにつれそれはひどくなって、暴力を振るう様になった。
 
 
 
今でいう‥家庭内暴力ってやつだ‥‥。
 
 
まだ子どもの俺には‥‥それは、精神的にも‥肉体的にも限界だった。
 
 
こんなこと学校の友達にも、相談できるはずもなくて‥。
 
周りの大人にも、相談できなかった‥。
 
 
‥いや、できなかったんじゃない。
 
‥‥しなかった。」
 
 
 
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