ヒマワリの笑顔
3年生の秋、いつもの学校への登校中、なぜ兄が恐い顔をするのか理解した。

原因はみどりのおばちゃんだった…。

夏休みに入る前、普段ふざけたりしない兄が登校中にゲームを始めた。

坂道を下り終わる直前で止まり、信号が変わるのを待つ。

信号が変わったとたんに一気に走り出す。

誰が一番最初に信号を渡り終わるか…。

そんなゲームだった。

「信号が変わったら「よーいドン!!」で学校までかけっこだ!」

の掛け声でていかけっこをしていた。

麻衣も加わり三人でかけっこをする事も多かった。

走りぬけていく私たちに驚き

「気を付けて!!車ちゃんと見てね!!」


というみどりのおばちゃんの声も描き消すように大きな声ではしゃぎながら走っていた。

まだ子供だったから、そのころまったく違和感なく楽しんでいた。

でも、これは…

ただのかけっこじゃない…

兄の抵抗だったと秋ころ察した。

兄は、みどりのおばちゃんを嫌っていたのだ。

それが発覚したのが秋の終わりだった。


兄が熱で休み、一人で登校していた時だった。

兄もいないからかけっこもしない、麻衣もいなくて信号を一人でまっていた。

「さえちゃん、おはよう!」

みどりのおばちゃんだった。

久しぶりにみどりのおばちゃんに声をかけられたのでびっくりした。

こんなにも話してなかったのか、名前を呼ばれた時にどこか懐かしさを感じた。

「今日、こうちゃんは?」

みどりのおばちゃんが驚いてる私に気づく事なく言った。

「お熱なの。今日一人なんだぁ~」

とみどりのおばちゃんと久々の会話をした。

そう言った時、丁度信号が青に変わった。

「いってきます♪」

と別れを告げて学校へ歩き出した。

少し歩き出すと

「さえちゃ~ん、おはよ~」

麻衣が走ってきた。

「まいちゃん、おはよ~」

と振り返った時、みどりのおばちゃんが私をじっと見ているのに気が付いた。

なんだろ?

そんなことを一瞬思ったが、すぐに忘れていた。
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