ヒマワリの笑顔
「ただいま~♪」
一人で帰っても変わらない。
「おかえり〜」
リビングのソファーにもたれていると、母がガーデニングを終えてリビングに入ってきた。
「お母さん、今日さぁ~」
いつもの会話が始まった。
今朝話した、麻衣とお揃いの手袋の話をした。
「任せて。じゃぁ、次の休みに毛糸見に行こうか。さえ、色選んでね♪」
いつものように母は快く受け入れてくれた。
色はいつもお揃いにするオレンジ。
そう麻衣と決めていた。
母は、とても器用で防災頭巾や上履き袋はいつも母の手作りで、麻衣とのお揃いのものはたいてい母の手作りだった。
兄に宿題を渡した後、リビングで母と色んな話をした。
近頃、母はあまり自分の話をしない。
昔は、なんでも話してくれた。
近所のおばさんの話やまきおばさんの事、本当に何でも話してくれた。
今は、なんとなく会話をにごすのが母だった。
話をそらしたり、無理に笑ってみせたり、鼻歌でごまかした。
それでも私は帰るとひたすら学校での出来事を話した。
今日は、登校中の話もした。
みどりのおばちゃんの話をした時、母が一瞬眉間にしわを寄せた。
でも、すぐ笑顔を取り繕い、相槌をうった。
大きな声で話す私に兄が起きてきてリビングのソファーで横たわった。
顔が険しいのは、熱からかイライラしていたのか分からない。
とても険しい顔でソファーにもたれていた。
「お母さん、お水・・・」
兄がよわよわしく言うと
「はいはい」
と言って母は冷たい水を兄に差し出した。
そこで今日の会話は途切れた。
まもなくして、妹が友達のお母さんとともに帰ってきた。
幼稚園の後、友達の家に行っていたらしい。
会話が切り替わった時
「ふぅ・・・」
兄がため息をつきまた2階へあがった。