ヒマワリの笑顔
その日の夜、夜中にまた母の叫び声がした。

父の怒鳴り声が響き、母が泣いている。

そんな日々が続いた当初、近所のおばさんが止めに来てくれていたが、今はそんな助けもこない。

その日、いつもと違ったのは、兄が父に初めて反抗したのだ。

熱で寝込んでいるはずの兄の声がした。

「いい加減にしろ!! お母さんは僕が守る!!!!」

そう怒鳴っていた。

「てめぇ、この野郎!!殴られてぇか!!」

父の怒りが最頂点に達した時、ガラスが割れる音がした。

「いてぇ!!!」

父の声だった。

その時ガラスを投げたのが母なのか兄なのか分からない。

でも、一瞬父がひるんだ。

その時、母は兄を引っ張りキッチンの裏玄関から外へ逃げ出した。

「待て!!てめぇら殺されてぇか!!!」

父の怒鳴り声がした後に

「くそぉ、あのくそガキ!!いってぇ・・・」

そう大きな声で呟いていた。

完全に起きていた私と妹だったが、一生懸命に目をつぶり寝たふりをした。

今度は父がこの部屋にやってくる。

そんな気がした。

そしたら・・・誰が守ってくれる?

母がいない。

兄もいない・・・

きっと殺されるんだ。

神様助けて!!!!

そう心の中で何度も叫んだ。

震えが止まらず、涙も鼻水も止まらなかった。

でも、鼻水をすする音でさえ父に聞こえてしまう気がした。

もし聞こえたら・・・父に起きている事がバレてしまう…
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