ヒマワリの笑顔
「おかあさん、行ってきま~す!!」

「行ってらっしゃい。こうちゃん、さえをお願いね」

いつも兄と学校に通っていた私は、玄関からリビングの母に向かって大きな声で挨拶をするのが好きだった。

母もリビングから顔を出しいつも笑顔で挨拶してくれる。

昔は玄関まで送ってくれていたが、妹が幼稚園に通うようになってからは、その準備で忙しく、リビングからの挨拶だった。

それでも私たち兄弟は、その挨拶が大好きだった。

兄と私は仲良しで、いろんな会話をしながら学校まで通っていた。

「さえちゃん、こうちゃん、おはよう」
坂道を下り、右に曲がった信号で緑の旗をもった"みどりのおばちゃん"がいつものように挨拶をしてくれる。

学校の事務のおばちゃんで、"みどりのおばちゃん"と皆呼んでいた。

今思えば、みどりのおばちゃんと呼ばれる年齢ではない。

母と同じ位か少し上だろう。

「みどりのおばちゃん、おはようございます!」
兄と私は声をそろえて挨拶をする、そこから信号が変わるまで"みどりのおばちゃん"にいろんな話をするのがいつもだった。

自宅から小学校まで15分位で、坂道を下り、右にまっすぐ行けば小学校だった。

「さえちゃん、こうちゃん、おはよ~」信号を渡り終えた頃、親友の麻衣が走りながら寄ってきた。

麻衣は幼稚園からの仲良しで、麻衣の両親も私の両親と仲が良かった。

「まいちゃん、おはよ~」

三人で並びながらしばらく歩き、昨日の麻衣の家の話を聞く。

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