溺れ愛
「あ!!」
「どうしたの?」
ど、どどどどうしましょう・・・!
「弥生ちゃんに何も言ってないよ~」
あのまま走り去ってきちゃったから荷物も弥生ちゃんのお家だし、何も連絡してないから・・・。
弥生ちゃん絶対に心配してるよね!?
「ああ、それなら大丈夫だよ。水原の家に荷物とりに行ったし、ついでにちぃが見つかったの伝えといたから」
いつの間に・・・?
私が着替えて髪を乾かしてる間、だよね。
せっかくお風呂であったまったのに雨の中いってくれたのかな。
良平くんは、いつだって優しい。
私が勝手にいじけてただけなのに。
それでもこんなに、優しい。
その優しさに触れて心がどうしようもなくざわめくんだよ。
「ありがとう」
大好き、良平くん。
「ちぃのためならなんてことないよ」
「良平くん・・・」
「ま、水原には散々どやされたけどね。あたしの千愛になにしてくれとんじゃいとかって。勇ましいよね、水原」
弥生ちゃんらしいなぁ。
弥生ちゃんはいつも私の味方でいてくれる。
「うん、弥生ちゃん大好きなの」
「ふーん。俺よりも?」
「え!?」
良平くんと弥生ちゃんを比べるなんて出来ないよ~・・・。
好きの種類が違うんだもん。
「ふ、二人とも一番です!」
男の子としての一番は良平くん。
親友としての一番は弥生ちゃん。
二人とも大好きっ!